明るくなると、かなりゆとりをもって車を並べてあることがわかった。たしかにこれなら、いつでも車は出し入れできる。
昨晩話をした、隣のいとこ同士は、車ごといなくなっていた。場所を移動したのかもしれない。
早速朝食。
車のトランクに入れたクーラーバッグを取り出す。
キーでトランクを開けるのだが、なくさないようにキーを挿したままトランクを開け閉め。
朝でも飲み物はもちろんビール。
それと、ハム・生野菜・チーズ・マヨネーズをパンにはさんでサンドイッチにした。
このパン、食べてみるととても味が濃い。パッケージを確認したら、ローズマリー&オリーブオイルと書いてあった。
本当にローズマリーが香るパンで、サンドイッチにはナイスチョイスだった。
ハムはターキー。店頭に、ポーク・チキン・ターキーの、それぞれのたくさんの種類のハムが並べられていて、旦那と一緒に迷った。ターキーが値段も手ごろだったし、3種類の味が1パックになっていたので、それを選択した。
サラダは、袋にちぎったレタスがつめてあり、シーザーサラダドレッシングとクルトンが同封されている。これひとつでサラダボールが作れるという優れもの。ドレッシングのテイストは、サルサ・アジア・フレンチなどたくさんあった。ドレッシングのついていない野菜だけのものもあった。
スライスチーズも本当にたくさん種類があって迷った。唐辛子と野菜の粒々が練りこまれたものにした。とても濃い味だが、サンドイッチにしたらほどよい加減になった。
買い物の選択はすべて大正解でおいしいサンドイッチだった。
しいていえば、生野菜はあと2パックくらい買ってもよかった。
自分たちの買い物がうまくいったので、なんとなく2人ともご機嫌。
まだ時間も早いので、私はもう少しテントでごろごろすることにした。
旦那は散策に出かけた。
残った食材をクーラーバッグにしまい、車のトランクに入れた。
それから、運転席側から出したいものがあったので、トランクから鍵をはずし、荷物を移動させてまたトランクの前に戻る。
そのときにふと、バドワイザーの入った箱をほかのことに利用しようと思いつき、箱を取り出した。
ビールを飲んだせいか、とても眠くてすぐテントに戻って寝た。
09:30 旦那が戻ってきた
「すでに外はおもしろいことになってるよ。そろそろ起きて一緒に行こう。」と声をかけられた。
私は、ぐっすり寝ていたようで、ぼんやりしながら起き上がる。
「ちょっと車から荷物を出すから鍵をとって。」と旦那に言われて、鍵を探す。
あれ、ない…。
「ないんだけど…。」と私。
旦那は、「お前が最後にクーラーバッグをしまってくれたから、持ってるでしょ。」と言い、たしかに私もその記憶があった。
突然覚醒。
そうかもしれない、と、考えただけでゾクっとした。
トランクの中だ。間違いない。
気をつけていたつもりなのに、やってしまった。
おそるおそる旦那に
「たぶんその中にある。」と言って、車のトランクを指差した。
「マジで…。」と固まる旦那。
すっかり目が覚めた私。
それでもあわてていて、そのまま起き出してテントの外にでると、寝ていたのでズボンのボタンをあけたままだわ、下着も背中側からべろっと出たままのひどい格好で、旦那に指摘されて気付く。
念のため、車周りの足元と、テントの中の荷物を全部出して探してみたがなかった。
「車の鍵の置き場所決めてなかったの?」と言われ、そんなことを考えもしなかった自分を悔やむ。財布もバッグも携帯も、車の鍵も、なんとなく頭のあたりにひとまとめに置いてあっただけだ。あまりにも、ざっくりしすぎだ。
旦那のしっかりした性格をわけてほしい。
機内で読んだ、ガイドブックの一文が脳裏に蘇る。「JAFの会員証で、AAAのサービスも利用できます」。はぁぁ…。出発前に読んでおけばなぁ。
朝食の時点では、楽しい1日のはじまりだったのに。状況急変。
さて、どうしよう。
shorelineのショウを見てからGorge入りする友人Nくんの同行者の携帯番号を聞いていた。もう現地入りしているかもしれない。
よし、携帯で連絡だ。
携帯電話を見ると、圏外になっている。
おかしいなぁ。自動エリア設定をやり直す。
画面に出てきた表示は
「ここは、バングラデシュです。」
・・・。
シアトルにいたときには、きちんと「アメリカです」って言ってくれたじゃないか、お前。
しっかりしてくれー。
何度やってもバングラデシュ。バングラデシュの国際アクセス番号は00。アメリカは011。当然使えない。
手動操作というのがあったので試みる。
Aシステム、Bシステム、手動チャネル入力の中から選ばなくてはならない。まったく意味がわからない。
携帯電話の取説は散々読んできたので持ってこなかった。現地からの電話のかけかたのページだけはホームページから出力してきた。しかし、このことは何も説明がない。
あぁ、成田で携帯電話ショップに寄ろうという気はあったのにぃぃ。
どうもこのところ、ふとよぎる不安ややろうと思ったことをやらずに、結局あとになって失敗したり後悔したりしていることが多発。
もうイヤになっちゃう。
Bシステムにすると呼び出しはするのだが、英語で何かメッセージがながれて切れてしまう。
意味がわからないし、その間も通話中の表示がでているので課金されているっぽい。
日本の自宅も試したし、アメリカに住む友だちにもかけたし、グローバル携帯にしているはずの友達にもかけたが同じ。
無駄だ。あきらめる。
私が寝ている間に旦那が話して仲良くなったという、隣のカナダ人ファミリーに相談する。
とても親身になってくれた。
まず彼の携帯で私の友人にかけてみるがつながらない。
ダメか。
「シートのキーもかけてしまったの?」と聞かれたので、「そう」と答える。
そんなに神経質にならなくてもよかったのだろうな。車の鍵をすべてかけておく必要はなかったかもしれない。
彼は、「心配しなくていいよ。ロックサービスを呼べばすぐに開けてくれるさ」と、ロックを解除するジェスチャーをまじえて、笑顔で私に言った。励ましてくれているのだ。
彼と話した結果、このキャンプサイトのオフィスに相談するのがいいということになった。
ひとまず冷静になることにつとめ、私も着替えをして身支度を整えた。
オフィスに行こうとすると、隣のカナダ人が「ビールはある?」と聞いてきた。
私は苦笑して開かないトランクを指差した。
すると彼は笑って、私たちにビールを振る舞ってくれた。無事に鍵が開きますようにと乾杯。
やさしさが身にしみた。
旦那は、怒ったりあせったりすることはなく、私を責めることもなかった。イライラもしなかったし、落ち着いて、大きな気持ちで見守ってくれているのがわかった。
それがとても嬉しかったし、申し訳なくもあったが、お陰で私もヒステリックになったり、落ち込み過ぎたりすることもなくすんだ。感謝している。
10:30 ゲート脇にあるBOX OFFICEへ行く
カウンター越しに、片言に状況を説明すると「OK。キーロックサービスに電話をするから、裏に回って事務所に入って来て。」と言われた。
この慣れた対応の仕方は、キーロックサービスを呼ぶことはよくあるのだろうと思った。
事務所に入ったら、電話機にキーロックサービスの連絡先が書いてあったから、やはりそうだ。
事務所の女性がコールだけしてくれて、私に受話器を渡す。
とてもゆっくりとした中学生のような英語で状況を説明。なんとか相手には伝わったようだ。
すると、一気に返事を話し始めた。私ではとても聞き取れない。
相手を制止して英語ができないことを伝え、事務の女性と電話をかわってもらった。
車が3時間後に到着するから、13:30頃、外のゲート付近で待っているようにと言われた。
カード支払いはできるか聞いたら、オフィスに戻らないとできないからキャッシュだと言われた。見積もり金額$132.5。
だいぶ肩の力が抜けた。高額の現金出費は痛いけれど、それで解決できるのならいい。
鍵はおそらく開くだろうから、残る心配はトランクの中に間違いなく鍵があること。そうだと思うのだけれど、100%と言い切れない弱さもあった。自信がなくなった。
どちらにしたって、あと3時間は鍵のことを考えても変わらないので、一旦忘れて、Parkinglotを楽しむことにした。
プロ風の商売人から、PHISHのPHANがごく個人的に出店する店まで、たくさんの店が軒を連ねる。
何往復しても飽きない。
通りを行き来する人たちのTシャツのデザインを見ているだけでも楽しい。
車に釜を積んでいて、生地をその場でこねて焼きたてのピザを出すお店があったので、旦那と注文。
ちょうど釜から出したばかりのアツアツをいただいた。これがむちゃくちゃおいしかった。
芝生に座って食べていたら、「日本から来たの?」と、陽気なアメリカ人(?)に声をかけられ、会話も楽しんだ。
鍵の出費は気になるものの、まだお金はほとんど使っていなかったので、一期一会の出会いの雑貨やTシャツをあれこれ購入。
旦那がショウの次に楽しみにしていたのは、このparking lotでのショッピングなのだ。
3時間待つのは長いなと思っていたのだが、時計を見たら13時だった。
旦那も「もし待たせてしまうのも悪いし、早めに行っておこう」と言うのでそのままゲートに向かった。
13:10 ゲート到着
ゲートのすぐ脇に、コンビニのような雑貨店があったので、レモネードを買った。
お客はひっきりなしに出入りし、大量のビールと氷を買って行く。一度に買う氷の量も、日本のロックアイス10袋分くらいだ。豪快。
店の前で日本語で声をかけられた。彼は、仕事の関係で5年前まで日本に住んでいたそうで、日本では、チナキャッツやワーロックス、Big Frogにマジェスティックサーカスなどを見た事があると言う。ユーコトピアにも何度か行ったそうで、ずいぶんとコアなところを知っている。
連絡先を交換して彼と別れ、ゲートの脇に旦那と並んで腰掛けた。
気候は半袖のTシャツで快適なのだが、日差しはけっこう強い。
「暑いね。」と話しながら2人でじっと座り続けた。
キャンプサイトにはひっきりなしに車が入ってくる。それをずっと2人で眺めている。
きっとわかりやすい車で来るのだろうけれど、それらしい車は来ない。
友達の車がこのタイミングで来るといいのにと思って見ているけれど、それも来ない。
14:00 待ちぼうけ
旦那は「何時まで待つ?オフィスに聞いてもらう?」と聞いてきた。
私は「1時間待ってみて来なかったら、問い合わせてもらうよ。」とこたえた。
14:25 わかりやすい鍵のマークの車が到着
やっと来た!Jim's LOCK service。
Runaway Jim(笑)。
こちらから運転手に駆け寄り、名前を告げた。
車で来たのに汗だくの彼。
このとき車に書いてある電話番号を見て、やはりロックサービスの会社は6950とかつけるのだなとふと思った。69は"LOCK"かな?なんて。50が"GO"なわけはないがうっかりそう思ってしまった。日本人だわ私。
「現場まで乗って行け」と言われ、2人は乗れないので旦那が「俺は歩いて戻るから、お前がテントまで案内して。」と言い歩き始めた。
私は車の助手席に乗る。
再びトランクに鍵を入れたまま締めてしまったことを説明。でも自信がないのでmaybeと繰り返す。
彼は「もし鍵がなかったら、あと200ドルはかかる」と言った。笑えない私…。
キャンプサイトに入る車が混み始めた時間で、この車もその列にハマって進まない。
歩く旦那の方が断然早い。
ようやくチケットゲートを抜け、キャンプサイトに入る。すでにこのエリアは満車で、車を入れていないので係員にコーンをどけてもらう。
そして大勢の歩行者をかきわけるように車は進む。
それがちょっとした花道になる。
誰が見ても「この人は、こんなところで鍵のトラブルを背負ってまーす」とアピールしているわけで、車の窓も開けたままだから、通り過ぎる人たちにひやかされたり、はやし立てられたり、拍手されたりで、本当に恥ずかしかった。
ようやく私たちの車に到着。
まずは、トランクの鍵穴を棒状のものでギコギコ。
開かない。
あっさりトランクを開けるのをあきらめる。
道具を変えて、助手席側に移動。
ちいさな袋に、手でしゅぽしゅぽ空気を送る装置のついた、ちょうど血圧をはかるような道具が登場。
それをガラス窓の隙間に滑り込ませ、しゅぽしゅぽと空気を送ると、ドアが1cmほど上がり、隙間ができた。
そこから細長い針金を入れ、器用に針金の先でドアのロックを外した。
助手席のドアが開き、車内にあるトランクオープンのコックでトランクを開けた。
中を見ると、バドワイザーの空き箱、クーラーバッグが目に飛込む。
あれ…
鍵が…
旦那がクーラーバッグを持ち上げると、その下に鍵があった。
15:30 鍵発見
心配そうに見ていた隣のカナダ人もやってきて、みんなで拍手喝采。
よかったぁぁぁ。力が抜けた。
金額は見積もりどおりの$132.5。チップ分を乗せて少し多めに支払い、Jimは帰って行った。
「鍵は俺が預かっておくから。」と、旦那。是非そうしてください。
お隣に、お礼にバドワイザーを持っていったら「Oh! KING OF BEER!(笑)」と言われた。珍しいのです、バドワイザーの缶ビールなんて飲んでる人は。
乾杯して、そちらのタープの談笑にまぜてもらって楽しむ。みんなに「よかったよかった」と言われた。
16:00 仮眠をとる
17:00 いよいよThe Gorge Amphitheatreへ向かって出発。
■アルバム
まゆさん、ゴージ日記楽しませてもらっています。
返信削除なんだか久しぶりだよねえ。旅日記。
カギ紛失、僕は2度やりましたよ。
一度は、レンタカー会社に連絡を入れて、最寄のロックスミスに連絡を入れてもらい、格安割引料金で開けてもらいました。
もう一度の方は、やはりレンタカー会社に連絡を入れると、最寄の支店から合鍵を届けてくれました。
僕らはいつもHertzを利用していました。
ゴージあたりは、聞くところ、辺鄙なところだからロックスミスも遠くから来たのでしょうね。
何はともあれ、二人の旅日記、楽しませてください。
トランクにインキー、ぼくも10Kで着いて早々やらかしましたよw
返信削除でも日本から来たなんて話してたら、料金も取られずただで開けてくれました。
いえい。
やはりありますね−、アクシデント。
返信削除高速の入り口を間違ったり、ロストキー!
こんなアクシデントで夫婦のきずなが深まって、夫婦からますます同志になったり、後になればいい思い出になるのですよね。
やはり旅は最高!!
まゆさんの日記は食べ物の写真が多いのも嬉しいです。
パーキングロットの暑さと匂いがこちらまで伝わって来る気がします。
うんうん、海外にいくと普段は絶対やらないようなコトをやらかしちゃうんですよね~。まさか自分は、って思ってること平気でやっちゃう。
返信削除それと、記憶が前回の海外渡航のままだから、あたりまえなんだけどアメリカだってその分進化しちゃってるわけで、便利になってるシステムについて行けないです、いつも。ケータイのとこ読んでそんな気がしました。YOS
>なべさん
返信削除ありがとうございます。
最近は長期旅行にもでかけていなかったので、ブログの日記だけでまとめていましたが、今回は長文にしました。
カギは、なんとかなるだろうと思っていても、本当にがっくりしてしまいました。
ご丁寧にレンタカー会社の書類も一切合切助手席のドアポケットに入れたままで、なんだかもう頭もまわらず、オフィスに行きました。いままでHertzが多かったのですが、この日空きがなかったのと、海外レンタカーに慣れてきたので、今回は価格比較して決めてみました。
ロック解除にお金はかかりましたが、ショウを見るのに影響がでなくて本当によかったです。
>ululuくん
おー、けっこうインキー仲間っているのね(笑)。
私は超正攻法で行き過ぎたのかも(笑)。それでもあんな場所に居たのに、約4時間強で不安から解消されたので、今回は勉強代です。
でも、ululu君のところに来てくれた人、気前がいいというか、そういうのってカッコイイね。
キャンプサイトの件、アドバイスもらってよかったです。事前にキャンプチケット手配していきました。
>ぜっぷさん
文章にも何度も「事前に確認して」というフレーズが出るので伝わると思いますが、これでもわりあい前もって想定して準備する方なんですけどねー。それでもうっかりした性格なのでした。
旦那に責められたら、逆ギレして大げんかになったかもしれません。逆なら私はため息ついたり責めたりしたかもしれないので、そうでなくてよかった(笑)。
食べ物の写真が多いのは、レコーディングも兼ねてます(笑)。だからこの旅は全部の食事を撮影しました。
>YOS さん
何度も何度も、いろんな状況を想像して準備するんですけどねー。やらかしちゃうもんです(笑)
私も今回パスポートが切れていたので、更新し、5年ぶりに海外へ行きました。
システマチックになってました。セルフチェックインは便利でしたが、携帯は持ってかなくてもいいかなーって思いました。かえって携帯不通のおかげで心理的に縛られることもなくてよかったと後で思いました。
アメリカ人はiPhone持ってる人がとても多かったです。